定年退職後、年金生活をスタートさせる人の中には、思いもしなかった入院や治療、親族やパートナーの介護、バリアフリー化へのリノベーション、子供や孫たちのお祝い事などと、年齢を重ねるほどに、増える出費に悩まされる人も多いはず。
特に、現役でしっかりと暮らせるだけの収入を定期的に得ていても、様々な理由から貯蓄が十分にできていなかった場合、高齢者であれ借り入れを考えなくてはいけないことも珍しくありません。
しかしながら、年金受給者であれば、労働による所得がないため、ほとんどの金融機関で借り入れのための審査通過が難しいもの。
- 年金を担保にし低金利で借りられる公的制度
- 即日融資不可、3ヵ月以上かかる場合も
- 自動返済なので、自宅にいながら返済できる
- 詐欺に注意!年金担保貸付制度は、公的融資
【目次】このページ先読み
年金受給者におすすめの借りる方法

年金受給者を対象とした貸し付けでは、
- 年金担保貸付制度(年金を担保にしてお金を借りる方法)
- 生活福祉資金貸付制度(市役所でお金を借りる生活福祉資金貸付制度)
- カードローン(カードローン利用でお金を借りる方法)
が挙げられます。
即日融資 | |
---|---|
年金担保貸付制度 | 不可 |
生活福祉資金貸付制度 | 不可 |
カードローン | 可能 |
この内、低金利で借り入れを可能とする公的制度は、年金担保貸付制度と生活福祉資金貸付制度になるのですが、融資までに最長で3ヶ月以上もの期間を要するという難点に加え、細やかな条件を理解しておく必要があります。
年金を担保にお金を借りる年金担保貸付制度とは?

年金を担保とする、つまり返済にはもらえる(もらっている)年金を充てる、ということから、「年金前借り制度」とも言われています。
年金担保貸付制度について
名称 | 年金担保貸付制度 |
---|---|
資格 | 年金受給中の方 |
年利率 | 2.8% |
限度額 | 年間年金受給額の80%迄 |
担保 | 年金の受給権 |
返済 | 年金支給機関より福祉医療機構が年金を直接受け取る |
追加借入 | 原則不可 |
以下、年金担保貸付制度の詳細をいくつか挙げておきます。
- 年利率は2.8%、融資金額は年間年金受給額の80%までであり、10万~200万円、ただし生活必需品の購入を使途とする場合は80万円まで。
- 年金の受給権を担保とし、条件として申し込みの際に年金証書を預託。
- 基本的に連帯保証人を必要とするが、信用保証期間で保証料が払えるのであれば、連帯保証人は不要。
- 返済には、年金支給機関より福祉医療機構が年金を直接受け取る。
- 追加の借り入れは原則として不可。
年金担保貸付制度は、年金を受給中の人のみを対象とした融資制度であり、別名「年金前借り制度」とはいえ、定年退職後に無収入だからという理由(関連:お金を借りる言い訳や理由は何て言えばいい?親・親戚や友人に借りたい時の言い訳や理由)で、まだもらっていない年金を前借りする、充てる、ということはできません。あくまでも、お金に困っている年金受給者への融資ということを目的とした制度です。
他に、年金担保貸付制度が利用できない人の特徴として、以下のことが挙げられるため、要注意。
- 既に生活保護受給者である。
- 生活保護の受給終了から5年が経過していない人。
- 特別支給の老齢厚生年金受給者で、65歳時での年金決定手続き中である人。
- 現況届、もしくは定期報告書を未提出である人。
- 年金支給を全額停止とされている人。
- 既に同年金による借入残高がある人、返済途中の人(追加借り入れは不可)。
- 反社会的勢力の該当者、または関係者。
年金担保貸付制度でお金を借りる申し込み~融資決定
ただし、ゆうちょ銀行、農協や労働金庫など、一部の金融機関では取り扱われていません(参考:令和2年2月10日現在における受託金融機関一覧)。
相談受付は福祉医療機構で行われていますが、申し込み手続きはしていないため、注意しましょう。
そして、申し込みから融資決定、返済までの基本的な流れは、以下の通り。
- 福祉医療機構の年金貸付課、または取り扱いの各金融機関に相談。
- 取り扱いの各金融機関にて申し込み手続きを始める、ただしその金融機関が年金の受け取り口座としての金融機関でない場合は、受け取り口座の変更が必要。
- 福祉医療機構にて審査、結果は4~5週間後。
- 取り扱い金融機関より審査通過の連絡があり次第、融資開始日などの詳細が説明される。
- 融資開始日に指定した口座へ入金される。
- 返済では、まず福祉医療機構へ、年金支給機関より年金が支払われ、返済額分を差し引いた残高が、指定口座へと振り込まれる。
年金担保貸付制度での審査について
年金担保貸付制度における審査には、年金証書を持つ年金受給者であるかどうかが基準の一つになります。そのため、まずは自宅に以下の年金証書が保管されているかどうかを確認しましょう。
- 国民年金証書
- 厚生年金保険年金証書
- 国民年金・厚生年金保険年金証書
- 船員保険年金証書
- 労働者災害補償保険年金証書
年金担保貸付制度の返済について
年金の振り込みにて自動返済となるため、自身で返済に出向く必要がないことは、高齢者にとって大きなメリットといえるでしょう。
逆に、注意しなくてはいけないこととして、利用者が融資中に死亡となれば、連帯保証人が返済の義務を負うことを覚えておきたいもの。連帯保証人なしで信用保証機関である「公益財団法人年金融資福祉サービス」に保証料の支払いをしている場合は、そちらで支払いをしてくれます。
そしてこの保証料の年利率は、年金担保貸付制度の貸付年利率と同じく、2.8%となっています。信用保証機関の申し込み用紙は、取り扱いの各金融機関で用意されているため、必要であれば年金担保貸付制度の申し込みとともに行うと一度で済みます。
ちなみに、連帯保証人の条件としては、
- 3親等以内の人。
- 居住地域が申し込み者と同じ都道府県内であること。
- 70歳未満であること。
- 750万円以上の年収がある人。
とされていて、かなり厳しい傾向になっています。
年金でお金を借りるメリット・デメリット

メリット
銀行や消費者金融でのカードローンであれば、年利率が大体3.0~18.0%である上、初回契約者には上限金利の適用がベースとなっているため、10.0%以下の金利で契約できる可能性はないといっていいでしょう。
そして、年金担保貸付制度の資金使途が、教育、住宅改修、医療、生活必需品購入などと、比較的自由であることもメリットの一つです。ただし、生活費や旅行の費用として利用できないことが、独立行政法人福祉医療機構のサイトにも記されており、要注意。
融資の申し込み時には、見積書など使途証明となる書類の提出を求められます。利用したい人は、まず自身の目的がこの制度の資金使途に適しているかどうかを確認しましょう。
また、年金担保貸付制度の資金使途には、「債務などの一括整理」が認められているため、銀行など金融機関からの借り入れを、借り換えできるという点も有り難いもの。(関連:借金の一本化(おまとめローン)して金利を下げるデメリット・注意点を解説)
多重債務などでお困りの人には、低金利で借りられるこの制度を利用し、現在抱えている借り入れの借り換え・おまとめのご検討がおすすめです。
さらに、既述した通り、天引きによる自動返済ということで、ATMからの返済や指定口座に入金するなどといった、返済の手間がかからないこともメリットといえます。
デメリット
独立行政法人福祉医療機構のサイトによれば、この制度での審査には、4~5週間が必要とあり、即日融資を希望している人には向いていないといえます。
>>SMBCモビットでお金を借りる方法・審査・条件【バレないで即日融資】
>>アコムでお金を借りる審査や条件・返済・即日融資方法・特徴等解説
>>土曜・日曜・祝日の休日に即日お金を借りる方法※今すぐ融資OKのカードローン
その上、年金だけでギリギリの生活となっている人には、高リスクな借り入れということも十分に理解しておかなくてはいけません。
一時的な高出費のためにこの制度を利用するのはおすすめですが、借り入れの完済までは当然ながら受け取る年金額が減ってしまうことになるため、自身のライフスタイルが大きく変化するケースもあるはずです。
まずは一時的なことのために借り入れるのかどうか、慎重に考えてみましょう。単に生活費のためというのであれば、この制度を利用するのはNGです。生活の見直し、親族の援助(関連:親や知人にお金を借りるなら)、質屋の利用(関連:質屋でお金を借りる)、生活保護の受給など、他の方法を検討することも視野にいれましょう。
年金でお金を借りる制度の終了期日

それまではこれまで通り利用可能となっています。
そして、申し込み終了期限時で返済が残っていても、繰り上げ返済の必要はないため、安心です。
とはいえ、年金担保貸付制度の廃止により、不安を感じる人も少なくないでしょう。代替案はありますので、全国各地にある自立相談支援機関窓口にてご相談を。
年金を担保に貸付する悪徳業者に注意!

こういった詐欺に合う人も少なくないようなので、十分に注意しましょう。
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