前科持ちでもお金を借りるには？犯罪歴ありの人が融資を受ける方法等解説

犯罪者には当然のペナルティがありますが、罪を償った後は平等に社会生活を営むことができます。つまり前科者でも、スマホを持ったり、消費者金融や銀行でお金を借りることは可能です。

まとまったお金が必要になるシーンは多いでしょう。懲役刑の後の生活を軌道にのせるための資金が必要だったり、有罪判決後に罰金を支払い生活費が足りない状態になった人もいるかもしれません。申し込み条件をそろえて、金融機関で融資審査に通過すれば大丈夫です。

とはいえ、審査に通らず嘆くケースは少なくないようです。お金を借りられないのは「前科のせい」だと頭がいっぱいになっている人もいるかもしれません。借りたお金を返せるだけの返済能力があり、過去の信用情報がクリアであれば、前科者でも審査通過の可能性は十分にあるのです。

前科持ちの人でもお金を借りることはできる

前科のある人も、金融機関でお金を借りることはできます。反社会的勢力の一員でない限り、途端に申し込みを断られることはないので、今すぐにお金が必要になったら銀行や消費者金融でカードローン審査を申し込んでみてください。(お金を借りる時の審査はどこまで見られる？)

車や家を購入するにあたってのローン申請も、前科があるからといって断られることはありません。更生し現在はきちんと暮らしているならば、マイカー、マイホームを諦める必要はないのです。

とは言っても実際は、刑務所帰りの人は審査通過に不利な条件がそろってしまっていることがあり、お金を借りることができなかったというケースは少なくなくないようです。前科者にとって借入はむずかしいかもしれません。

前科ありのお金の借り方や、審査なしでお金を入手する方法について詳しく解説します。(お金を借りる即日審査なし方法ってあるの？今すぐ借りたい時の借入先を解説)

銀行・消費者金融カードローンの審査を申込む

生活費の補填や、身の回りの資金にお金がどうしても必要な時は、銀行や消費者金融でカードローンを申し込んでお金を借ります。しかし誰でも借りられるわけではありません。まずは各社で設定された申し込み条件をクリアしていなければなりません。

カードローンに申し込むことができたら、審査結果を待つだけです。審査では、借りたお金を返すための稼ぎがあるか、過去に返済遅れや破産などを起こしていないかを調べられます。

前科があろうとなかろうと審査にクリアする基準は同じです。しかし刑務所帰りでまだ収入に安定性がない人や、拘束期間中に返済できず滞納してしまった人は、結果的に審査に通過できずお金を借りられないかもしれません。

カードローンの審査に通れば、年収の3分の1を上限としてお金を借りることができます。下記は銀行と消費者金融それぞれのカードローンの特徴です。主な違いを把握し、どちらのカードローンを利用するか検討してみるといいです。

車のローン・住宅ローンは前科が理由で借りれないということはない

更生し日々の暮らしに勤しむ人も、結婚し家庭を持った前科者も、自動車ローンや住宅ローンを組むことができます。住宅ローンは主に銀行での取り扱いです。自動車ローンはディーラーで提携のあるローン会社を利用することが多いでしょう。どちらも、反社会的勢力に関わりがない限り、申し込みを拒否されることはないです。

過去に起こした傷害事件、繰り返した万引き、スピード違反などの交通違反も犯罪です。どのような犯罪でも罪を償うことで、その後の人生は人として平等に暮らしていくことができます。前科があるからといって、マイカーもマイホームも無理にはなりません。

ただし、車や家のローンもお金を借りることには変わりなく、当然の審査があります。前科に関わらず、銀行やローン会社独自の基準によって審査落ちしまう人がいることは把握しておきましょう。

質屋で借りるなら審査は必要なし

前科者がお金を借りる方法の一つに、質屋の利用があります。質屋は、急な出費や給料日までの補填に、古くは江戸時代から利用されています。現在も質屋営業法に基づいて事業が継続されています。(参考：憲法第158号 質屋営業法)

カードローンと違い質屋には、審査がありません。質屋で借りたお金にも利息はつきますが、もし返済ができなければ、預けた品物が没収されると同時に借金は消滅する仕組みがあります。

より価値のある品物ほど高値でお金を貸してもらえますが、店舗によっては高級品でなくても担保として預かってもらえます。下記は一般的によく質入れされる物の一例です。

質屋でお金を借りるために必要なものは、健康保険証やマイナンバーカードなどの身分証明証と、質入するための品物です。本人確認と身元確認のために住所や勤務先の記入が必要となりますが、前科が影響することはありません。金融機関のように年収や過去の滞納をチェックされることがなく安心できます。

親や親戚に利息を払って借りる

親や親戚から借りることは、前科者がお金を入手する方法の一つです。身内に「お金を貸して欲しい」とお願いすることは、簡単ではありませんが、正直に事情を話し相談することが大切です。

しかしたとえ関係性の良い家族でも、なあなあで借りるとトラブルが起きやすいです。お金の切れ目は縁の切れ目ということわざがあるように、身内だからこそきちんと利息や期限を設けて貸してもらうことをおすすめします。親や親戚との貸し借りで利息をつけることには以下のようなメリットがあります。

国税庁は、親子の貸し借りの場合、お金を貸した親が本来得るはずだった利息は親から子へ贈与されたものとみなします。贈与税がかかるおそれがあるため注意が必要です。
(参考：国税庁 No.4420 親から金銭を借りた場合)

前科持ちの人が金融機関からお金を借りられない理由は前科のあるなしではない

消費者金融や銀行に借入を申し込んだ人が審査落ちする理由は、前科があるからではありません。お金を借りられない理由は、公正に審査された結果、条件に合わなかったためです。個人の犯罪歴は審査項目には無いのです。

とはいえ、前科こそが審査通過のネックになっていると思えてしまう人もおられるでしょう。そもそも借入審査では返済能力と信用情報が調べられます。前科ありの人の中には、この2つの審査項目に不利な人が多いといえます。

上記の条件がどう審査に影響するのか詳しく見ていきます。

申込み条件・審査基準に満たなかった

前科があるから借りられないのではなく、そもそも申込条件が満たされておらず審査に至るまでもなかったというケースが少なくありません。たとえば、刑務所出所後の一定期間は就職ができない場合もあります。一般基準では、前科者に限らず安定収入がない人は借入申し込みはできません。下記は、失敗しやすい申込の例です。(お金借りるための必要書類)

また、申し込みが受理されても、申込者の返済能力と信用情報の審査基準をクリアしないと否決されます。審査に通る基準は金融会社によってさまざまで、内容は公表されていません。

信用情報がブラックである可能性が高い

お金を借りることにおいて、犯罪歴そのものはブラック扱いではありません。しかし、犯罪歴のある人は、信用情報に傷がある場合が多く審査通過の妨げになっています。(ブラックでもお金は借りられる？)

前科者の信用情報がブラックであることが多い理由はさまざまですが、一例として、拘留されている間に借金返済ができず滞納未納が重なることが挙げられます。数年間の懲役刑ともなればなおさらです。金融機関は、利用者の返済状況を信用情報機関に提供するため、未払いの事実は不利な記録として残ってしまうのです。

職歴がない、収入が安定していない等返済能力がない

前科があるから審査に通らないのではなく、返済能力の乏しさが審査否決の原因の一つです。消費者金融は利用者の返済能力を調査しなければならないと法律で定められています。(参考：貸金業法第十三条 返済能力の調査)

金融機関でお金を借りるためには、返すお金を生み出すだけの能力があるかどうかが肝心です。下記は、多くの金融機関が返済能力を判断するためにチェックする項目の例です。

• 職種
• 雇用形態
• 勤続年数
• 年収
• 預貯金

上記のチェック項目において、合格する基準が非公開のため正確にはわかりません。ただ、審査通過に有利な状況とは、稼ぎに継続した安定性がみられることです。アルバイトよりは正社員の方が有利で、勤続1年よりも10年の方が審査に通過しやすいといえます。

ですが、禁固刑で出所した後まもなくは、十分な勤続年数や年収が得られず不利な条件下であることが多いです。刑務作業によって日銭を稼いでいたとしても、借入審査に有利にはたらくことはありません。(無職でもお金を借りる方法(ニート・失業中・学生・専業主婦・年金受給者))

犯罪歴は調べられないが反社会的勢力かどうかは調べられる

借入審査においては、犯罪歴を調べられることはありません。前科があってもなくても平等に審査が行われます。ただし、申し込み人が反社会的勢力ではないかどうかは調査されます。

とくに銀行は警察のデータベースを活用し徹底的に調べます。消費者金融やクレジットカード会社が加盟する日本貸金業協会でも、特定情報を管理するデータベースが構築されています。(参考：日本貸金業協会 協会員の法令等遵守体制整備の支援)

反社とは、暴力団や暴力団に準じた組織を含め犯罪グループ全体のことを指し、不当な要求や詐欺、恐喝、暴力等を行うことで利益を得ています。日本の各企業は政府の方針に沿って、暴力団排除の基本指針を掲げています。貸金業協会においても、反社会的勢力への対応として適切な事前審査を実施するとしています。

前科の内容が金融関係だった

過去に有罪判決を受けたことがある人も、返済能力や信用情報で基準を満たせば、犯罪歴に関係なくお金を借りることができます。

しかし、お金にからんだ犯罪歴がある場合は、審査基準を満たしていても、金融機関にはどうしても警戒されます。とくに詐欺罪は令和2年の再犯率が58.1%にものぼり、金融会社にとってのリスクは低くありません。いくら人柄の良い人や更生した人でも、万が一の再犯やトラブルにまきこまれた時の不利益を簡単に想像できてしまうからです。
(参考：日本刑事政策研究会　犯罪白書)

口座の売買、他人名義での口座開設は、犯罪収益移転防止法違反にあたります。マネーロンダリングなど金融系の犯罪は時として国益にも関わります。
(参考：警視庁マネー・ロンダリング対策の沿革)

実名報道され犯罪で有名になって知られている

お金を借りられない理由は前科そのものではなく、犯罪者としてあまりにも有名な人だからというケースがあります。借入申し込みでは、わざわざ身元調査はされませんが、名前を聞けば誰もが知っているような前科者だった場合、借入審査への影響が全くないとはいえないのです。

たとえ反社会的勢力とは関係のない人でも、過去に極悪事件を起こしているとなるとあまりに印象はよくありません。金融機関が契約を避けようとするのはリスク回避のためだと考えられます。

個人の過去の犯罪歴は、警察に問い合わせても教えてもらえるはずはありません。ただ、罪が大きければ大きいほどメディアに名前が露出し有名になっている場合があります。インターネットで名前を検索するだけで過去に実名報道されたニュース記事にヒットするため簡単に犯罪歴を掘り起こすことができてしまいます。

住所がない、定住できていない

お金を借りられない理由の一つに、住所がないことが挙げられます。住所は、個人の拠点を表す重要な個人情報の一つで、ホームレス状態やアドレスホッパーはローンを組めない可能性が高いです。

一般的に、借入だけでなく契約ごとには住所が必須です。前科があってもなくても、住所が無いことは生活拠点がないことを指し、地に足がついていないと発表しているようなものです。

とくに刑務所出所後は、帰る家がなく転々とする人が少なくありません。帰省先がない人の再犯率は高いといいます。刑務所に出たり入ったりを繰り返すとさらに定住ができなくなるため、借入申し込みに不利な状況が続くと考えることができます。

前科持ちの人ができること・できないことの例

交通違反で罰金をくらっても前科持ちにあたります。周囲で前科のある人は意外に多いかもしれません。罪を償った人にも当然に人権があり、社会復帰した後は公平に暮らしを営みます。就職しお金を稼げば、スマホを契約し、クレジットカードを作ることもできます。パスポートも無効にはならず海外旅行にも行けます。

ただし、罪状にもよりますが、前科があることはデメリットとして運ぶことがあるのも実情です。たとえば海外旅行では国によって入国制限がかかるケースもあります。そのほかもっと現実的なシーンでは、就職活動や勤務先からの処遇で不利なこともあります。前科があることでできることやできないことについてをもう少し詳しく解説していきます。

金融機関・銀行への就職はできない

過去に犯罪歴がある場合の就職先として、銀行などの金融機関は非常に厳しいです。金融機関で提供するサービスは、犯罪の温床だともいえるほどに悪用されることが多いからです。金融会社は、社内の事情をよくわかった銀行員・社員から金融犯罪者をだすようなことを防ぐ必要があります。また、万が一の反社会的勢力との接点は断じて許容されません。とくに銀行は顧客の信用情報を扱う立場にあります。企業としての信用を守るためにも前科者の銀行員としての採用を避けるはずです。

前科持ちの人も当然に、求人に応募し職に就こうとすることができます。しかし銀行、金融機関以外にも就職が難しい職種があるのも実情です。ハローワークなど最寄りの就労支援を利用することが望ましいです。

とくに国家資格者や公務員の職に就くことが難しいとわかります。国家資格者にはその資格を与えるにふさわしくないとされ、公務員は、地方や国家のために働き税金から収入を得るにふさわしくないと判断さてしまいます。

就職先・勤務先(会社)には知られないので解雇はされない

会社に在籍中に前科がついたとしても、その個人情報が会社に通達されるようなことはないため解雇されることはないはずです。社員による噂話レベルで勤務先の幹部の耳に入ることもあるでしょうが、犯罪歴を理由にした解雇は、不当解雇にあたり裁判沙汰の案件になってしまうため起きにくいです。

しかし、前科の内容によっては見過ごせないと考える会社もあります。そのような会社では、あらかじめ就業規則に解雇事由についての記載があることが多いです。一般的に「社会秩序を著しく乱す行為や法令に違反したとき」という懲戒解雇にあたります。

とはいえ、企業は「前科があるから懲戒免職にする」と直接的にはいえません。労働基準法にあるように使用者は労働者を守ることが前提だからです。建前上は、労働契約が遂行されない下記のような事由について指導と改善を繰り返した後、解雇へと導かれる場合が多いかもしれません。

新規クレジットカード・新規口座・証券口座は作れる

前科者も銀行口座や証券口座、クレジットカードを作ることができます。罪を償った人にも平等に権利があるからです。しかしながら、結果的に「作れなかった」という前科者は少なくありません。原因は、審査に通過しにくい材料をもっているか、金融系の前科が影響していると考えることができます。企業は、起こりうる犯罪を防がなければならないからです。

携帯電話・スマホの契約はできる

過去に犯罪歴があっても、スマホ・携帯の契約は可能です。社会生活を営む上でいまや携帯電話は欠かせないツールです。刑務所から出たすぐからスマホの必要性を感じる人もいるかもしれません。

ただ、少なからず携帯を買いに行っても申し込みを断られてしまう人はいます。その原因は前科があることではなく、携帯電話会社の独自の審査でひっかかっていると考えられます。

とくに、スマホやタブレット端末の割賦契約を申し込むと審査はより厳しくなります。携帯電話会社の契約審査に、ローン審査が加わり、返済能力と信用情報がチェックされるからです。携帯電話だけでなく、消費者金融からの借金滞納やクレジットカードの未払いが過去にある場合は審査通過は厳しいです。

前科持ちの人がお金を借りる時によくある質問

融資審査の時に前科があるかどうかはバレますか？

個人の犯罪歴は検察、警察、市区町村役場にしかなく、個人や企業が問い合わせても教えてもらうことはできません。つまり融資審査で、前科の有無や執行猶予中であることは通常はバレません。しかし、テレビや新聞、ネット記事などメディアで実名が報道されている人は簡単にバレてしまうでしょう。審査中にインターネットで名前を検索されることがあっても不思議ではありません。

• 犯罪歴は調べられないが反社会的勢力かどうかは調べられる

前科があればローンは組めませんか？

前科があってもローンを組めます。ローンを組むためには金融会社の審査に通過する必要がありますが、前科は審査の項目に無いからです。返済能力と信用情報がクリアできればローン契約ができます。ただし、金融会社はリスクヘッジのために脱税・横領・着服・詐欺などの金融犯罪に関わった人との契約を見送るケースがあります。

• 前科持ちの人でもお金を借りることはできる

詐欺の前科があると借入は難しいですか？

詐欺の前科は、防犯の観点から借入契約は難しいといえます。審査否決の理由はどの金融会社でも一切教えてはもらえませんが、とくに金融詐欺の犯罪歴がある人との契約回避は、企業のリスクマネジメントとして十分に考えられます。
【金融詐欺の例】振り込め詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、フィッシング詐欺、預貯金詐欺、金融商品詐欺、投資勧誘詐欺

• 前科の内容が金融関係だった

銀行から犯罪歴ありとされると融資してもらえませんか？

更生した後は、犯罪歴は銀行融資の妨げにはなりません。それよりも、他社で契約中の借金額や過去の滞納歴といった情報の方が重要だからです。
しかし金融前科者は注意が必要です。銀行では反社との関わりを断絶するために警視庁のデータベースを利用した慎重な審査が行われます。過去に金融犯罪を起こしていたと判明した場合は融資を断られる可能性は高いです。

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この記事の監修者	山口みき
自己紹介	金融WEBメディア運営・管理経験(3年以上)を活かし「お金借りる今すぐナビ」の編集・監修を担当。FP技能士や貸金業務取扱主任者・クレジット債権管理士の資格取得にも前向きに取り組んでおり、借り入れに関する疑問や不安に応えるため、常に正確で専門的な情報提供に努めています。
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